私が影響を受けた画家

なんとなく好き。私の言う“好き”というのは、熱烈な情熱を持ったものでは無いです。こんなサイトを作りながら、私は芸術がよくわかりません。正直なところ、あまり興味が無い。それでも過去私が影響を受けた絵は確かにあるわけで、そんな曖昧な私の好きを、紹介してみようと思います。

きたのじゅんこさん

色鉛筆で作品を描かれている画家さんです。水彩色鉛筆や水彩絵具も使いつつ、色鉛筆で精密に描き込み繊細な作品を生み出しています。印象的なのは人物の美しい表情。

私は小学生の時に知りました。学校の図工の時間に、好きな画家を1人選んで、その人の作品を模写する授業がありまして。私は、おばあちゃんに買ってもらった色鉛筆画の本の中から、小さくモノクロで掲載されていたきたのじゅんこさんの作品を選びました。繊細な淡いタッチで、とても素敵な表情の人物(天使でしょうか)が描かれていました。おそらく、私が人生で初めて惹かれた絵画です。なんて美しいんだろうと思いました。

模写は苦い思い出。描いても描いても、本物のような表情にならない。何が何でも描いて見せたかった私ですが、無理もないです。可愛い服を着た女の子の絵くらいしか描いたことのない、小学生ですから。

その後も何度か模写に挑戦しましたが、あの表情は真似て描けるものではないのかもしれません。きたのじゅんこさんの心そのもので。

カールラーション

ご自分の家族の絵を描いた画家さんです。精密な描き込みと淡く華やかな色彩。そして何と言っても子供たちの表情が素敵すぎる。繊細で暖かい絵なので、私はずっと女性画家の方なのかなと、思っていました。ところがなんと、お父さんだったのですね。自宅での何気ない子供たちの日常を切り取った作品を見ていると、音が聞こえてくるような気さえします。ものすごくリアルに描かれているかというとそう言うわけでもなく、どこかイラストっぽい雰囲気を残している画風も私は好きです。

カールラーションの作品も、よく真似して描いていました。とくに子供たちの笑顔。パパっ!と、今にも抱きついてきそうな可愛い顔。

当時の私のスケッチブックを見返すと、カールラーションを真似た人物がたくさん描かれています。その頃の私はというと、可愛らしい青春とは程遠い暗黒時期を過ごしていたわけですが、スケッチブックの中の子供たちはキラキラした表情を浮かべていて。あんな笑顔が描けたのだから、あの頃の私も、完全に自分を見失ったわけでなかったのかも。と、ホッとする今のわたし。

リスベート・ツヴェルガー

絵本画家です。こちらは非現実的なおとぎの国の絵のような作風と、空間を取って描かれる独特な構図が好きです。絵と絵の間に良い具合の“間”が取られているのです。シンプル。変に画面を埋めない。描かないところは潔く。図書館へ行っては絵本を借りました。お話を読むためではなく、絵を見るために。

アール・ヌーヴォー

ジャンルでくくってしまいましたが、イラストレーターのジョルジュバルビエが描いた作品も好きです。完璧な構図。どこか浮世絵にも似ています。

この時代のアール・ヌーヴォー、アールデコのイラストレーターは平面的な不思議な構図を用いて描いているので面白いと思いました。ミュシャが有名です。華やかさも人気の理由ですね。ジェシーキングのイラストも、その平面的な描き方に興味を抱いて私はよく見ていました。こちらは主線がふわふわと重なるように描かれてより繊細な印象を抱きます。ジェシーキングは原色を使って子供の絵本のような絵も描いていますが、私はモノクロや、色が薄い作品のほうが好き。特に幸福の七日間に使われた作品が好き。

ニコレッタ・チェッコリ

可愛くて毒があって好きです。タロットカードの絵柄に使われていることをきっかけに知りました。すごくシュール。1枚の絵だけで物語が作れてしまうのではないかと、思える程の世界観。女性ファンが多そうです。

作品の背景

この中で1人を選ぶなら、カールラーションの絵。描いているのが家族というのが好きです。ひたすら家族。子供たち。暮らしている家の中。お庭で過ごした時間。意味がなくて、意味がある。

人気のミュシャは素敵だけれど、ミュシャ本人の人生を知ると、なんだか辛くなるので嫌なのです。芸術は辛い。

そういった絵の後ろに何も無いのがいいな。カールラーションも壮絶な思いをしていたりするのかもしれないけれど、絵で語らないところがいい。

追記

カールラーションも描いていた様です、神話やら宗教的な絵を。…勝手にショック。

カールラーション調べたら

好きの不思議

以上の方々の作品は、おそらく私の一部を作っています。好きって何なのでしょうね。なぜこれだけ数ある作品の中から、限られたものだけに惹かれるのだろうと考えると不思議です。たくさんの偶然の中で、私の人生に登場した作品という理由で、ただ親しみを感じているだけなのしょうか。それならば通り過ぎてしまう作品は何なのだろう。

先に述べたように、私には芸術がよくわかりません。爆発なのかな?

ただ単純に、その時期その時期で素敵だと感じた作品を、好きだと思った、と語ってみました。おそらく私は芸術がどうのこうのという興味ではなく、単純に、自分もこん絵が描けたらな、と思う、それだけなのです。