万年筆や付けペンで文字を書くのって、それをしている時の時間の流れまで変えてしまうような不思議な魅力がありますよね。
先日ものすごく美しい色の万年筆インクを知る機会があったので今日はそちらをご紹介します。
私は絵を描くのでどちらかというとこれまで絵画用のカラーインクと付けペンの方が馴染みがありましたが、最近万年筆にも興味が向いています。
ボールペンやマーカーでササっと気楽に書いて済ませることが出来てしまう今の時代でも、変わらず万年筆ファンはたくさんいらっしゃるようです。
Contents
万年筆の魅力
美しい滲み
万年筆で書く文字は筆の流れに添ってインクが薄れたり、逆に濃く色が溜まったりと、その独特の濃淡は何とも言えない美しさがあるのです。文字が生きているような・・・!!
ボトルデザイン
カラーインクもそうなんですが、万年筆もインクのボトルのデザインからして興味をそそられる。そのままインテリアにしたいくらいにおしゃれ。もともと絵画用のカラーインクもボトルデザインが好きだったので、万年筆のインクボトルにも惹かれてしまいます。
カラーバリエーション
インクの色もバリエーション豊富なんですよね。しかもね、メーカーにもよるけど、インクのネーミングがまた魅力的。和名が付いているインク等もあります。
今個人的に惹きつけられている、万年筆の魅力について書いてみました。でもきっと、万年筆そのもののデザインとか、書き心地とか、追求していくともっと深い部分で素晴らしさが見えてくるのでしょう。
そして、冒頭に書いたように、先日ものすごく美しい色のインクを発見しまして!!
INK物語の神戸ヒメアジサイ
INK物語の神戸ヒメアジサイ。
この神戸ヒメアジサイのインクを使っている方がいらっしゃいまして、その文字を見せていただいたら、もう素晴らしく美しいのです。
名前の通りまるで紫陽花を連想させられるような淡い色彩なんです。しかも、なぜだか1色で書いているのに2色の色が混じり合っているかのようなグラデーション。なんかね、雨粒に濡れた紫陽花っていうイメージがするんです。
NAGASAWA Penstyle Kobe INK物語 【神戸ヒメアジサイ】
INK物語
INK物語はナカガワ文化センターさんから発売されている万年筆用のインク。どれも神戸の街にちなんだ色なのだそうでタイトルもまた個性的です。
神戸ヒメアジサイ、実物は公式ホームページに載っている色よりも、もっとさらに美し滲み方をしていました。
そして、この神戸ヒメアジサイに衝撃を受けた私はあることをひらめきました。
カラーインクでも美しく2色に滲んだ文字が書けるのか
カラーインクで絵を描いていると、色によっては1色しか使っていなくても異なる色が滲み出てくることがあるんです。
全てのインクを試したわけではないのでわかりませんが、私が持っているものだとドクターマーチンラディアントの2B ULTRA BLUE。
ドクターマーチンラディアントの2B ULTRA BLUE
こちらのインクは色名の通り、青いインクです。
丁度、神戸ヒメアジサイと同系の色(厳密に言えば全然違うけど)だったのでつけペンで書いてみました。
気づいたのはまず、原液では濃すぎて再現は難しいです。真っ青に発色して、露に濡れた紫陽花の感じは出ません。
薄めて書くと綺麗。
ふわーっとした優しい色彩に。
でもね、やっぱり2色のグラデーションには至らず。若干なっているけれど、神戸ヒメアジサイはもっとはっきりとしたグラデーションになっていたのでやっぱりそれには惜しくも届かず。
最終手段でついに2色のインクを自分で混ぜるという荒業に出てしまいました。13Aサドルブラウンを混色。(余談ですがサドルブラウンは主線に使うと面白いですよ)
ほうほう!当たり前ですが2色のグラデーション文字になりました。画像でわかるかな・・・。コツはインクを完全に混ぜてしまわないこと。
ドクターマーチンラディアントのウルトラブルーは、水彩画みたいに画面いっぱい、広範囲にわたって滲ませたりすればすっごく綺麗なグラデーションになるんです。青いインクなのですが、ピンク色が現れてくる。でも文字みたいに細い線だと発揮しにくいみたい。(もしかしたら、イラストの主線に使うなら文字を書くよりは広範囲に着色することになるので、2色の色合いを楽しめるのかもしれません。)
これまでカラーインクと付けペンで文字だって書けるし!と思っていたわたしですが、あることに気が付きました。
絵画用のカラーインクと万年筆インクの違い
カラーインクでももちろん文字は書けます。カリグラフィーにも使われるくらいなので、十分に書けるんです。
でも万年筆インクと何が違うのかなって考えてみると、やはり万年筆インクは万年筆専用なだけあって、万年筆に最適なんですよね!!
カラーインクの場合
カラーインクは1本で幅の広い濃さに調節できるように原液そのものはかなり濃いめ。これは絵を描く場合や、はっきりとした文字を書くとき、また自分で好みの濃度に調節したりして使う場合など、その時々の用途に合わせて使い分けたい場合に便利です。
万年筆の場合
一方万年筆インクはそのままで万年筆に最適な濃度に仕上がっています。もちろん、濃い色合いのインクは万年筆のものでも濃いのだけれど、神戸ヒメアジサイのような淡い色彩のインクは、特別に薄めたりすることなくそのままで美しい文字が書ける。
やっぱりそれ専用の商品って、対応の商品に特化されているだけあるのだなと思いました。
神戸ヒメアジサイで書かれた文字に衝撃を受けた私の、カラーインクVS万年筆インクの実験は以上になります!みなさまもインクの美しさをお楽しみください。