色には、ひとつひとつ名前が付いています。
世界で付けられている色の名前もありますが、
日本には日本特有の伝統的な美しい色の呼び名があるのです。
「藤色」という名は聞いたことがある方も多いかと思います。
花の名や、自然にまつわるもの、日々の生活から由来しているもの・・・
昔から人々は文化や日々の暮らしの中から、様々な色を見出して
名を付けたのです。
おそらくその和名には、日本ならではの繊細な視点が込められているのです。
少しだけ和名の色をご紹介します。
色の和名
葉の色、草の色を表す
調べてみると、和名には植物の葉、苗など「緑」を表す名前だけでも、いくつもあります。
微妙な違いを言い表していることに驚きました。
若芽色、草色、若菜色、若葉色、萌黄、深緑・・・
同じ緑を指すにも、それが「芽」の色なのか、茂った「葉」の色なのかを
きちんと言い分けているんです。
また「竹」の色は
「若竹色」「竹色」「老竹色」など、どの程度の成長にあるかによって名前を変える繊細な表現をしています。
空の色
同じように空の色も、どのような時の空の色を指しているのか、様々な表現があります。
「天色」、「空色」、真夏の真っ青な空の色は「紺碧」。
また「み空(御空)色」という名は、空を敬う心を表した名なのだそう。
明るい神秘的な印象を持つ、青い色です。
心が名前の由来になっているなんて、美しいですね。
最後に私が和名の中で気に入っている一色についてご紹介します。
月白
月白という和名も好きですし、色も好みです。
月が夜空の中で輝く、うっすらと青みおびた白のことを指すのだそう。
手で触れることもない、光の色を名にするという所に心惹かれてしまいます。
和名について調べていると、とても奥深く、知らない事ばかりです。
古来から日本人がどんな所へ目を向けて美しさを表現してきたのかについて、思いを巡らせのも面白いですよね。
書店には、和名辞典も置いてあります。イラスト付きだったり、ぱっと開いて気軽に楽しめるものもあるので、手元に一冊あると楽しそうです。
色は、色そのものの存在よりも、人々の視点から生まれているような気がしました。
日本画の絵具に付いている色名
日本画を描く際に使う絵具に
岩絵具や水干絵具というものがあります。
岩絵具は自然の鉱物を元にして作られたもので
鉱物の色合いがそのまま絵具として味わえる画材です。
鉱物を細かく砕いてつくるのだそうです。
水干絵具は昔は泥絵具とも呼ばれていて、自然の土を採取して水を加え、それを板状に伸ばして干したものが絵の具として使われていたそうです。
現在ではそこへ鮮やかな顔料などが加えられ、色のバリエーション豊かにそろえられています。
この岩絵具、水干絵具は、どちらもとても曖昧な
個性的な色合いの絵の具なんです。
よく学校などで使った水彩絵の具やアクリルガッシュは
「赤」「青」「黄」など馴染みのある原色が入っていたと思います。
ですが日本画の絵具では例えば赤であれば「岩紅」(いわべに)や「紅辰砂」(べにしんしゃ)などがあり、
朱色っぽい色に近い赤だったり、少しくすんだ落ち着いた雰囲気の赤であったり、とても綺麗な色合いがそろっているのです。
日本画の絵具が並んでいるだけでも
その色合いから日本らしさが感じられますよ。
絵の具の名前もかっこいいですよね。
「緑青」(ろくしょう)とか「碧玉」(へきぎょく)とか「瑪瑙」(めのう)とか。
瑪瑙って鉱物でありますよね。瑪瑙を砕いて作っているので、
鉱物の名がそのまま絵の具の名になっています。
私はこの日本画絵具の色合いにしろネーミングにしろ、古風な雰囲気が好きでたまらないのです。
漢字も難しいし、絵の具の知識とか話はじめると、
複雑になってしまうけれど
和名がもっとポピュラーになって色んな所に使われたら楽しいですね。
和名が使われている商品
そういえば胡粉ネイルというのはありますね。
全て和の色の名前が付いている、ネイルカラーです。(なんとアルコールで落とせる)
「胡粉」というのも、また日本画で使われる画材です。
白い粉です。
粉を練って、白の絵の具としてつかったりします。
その胡粉を元に作られたネイルだなんて面白いですよね。
京都発祥です。さすが京都です。
もっとアイカラーとかリップとかを取り扱うメーカーさんがいたら面白いのになぁなんて。
日本の色、和名があるはずなのに、現代では圧倒的に、和名を聞く事の方が少ないような気がします。
せっかく素敵な視点から名付けられている、日本特有の色があるので大切にしたいです。
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