抽象絵画と子供のおもちゃの意外な接点

子供たちが使うおもちゃの中に、シンプルな丸、四角、三角などの形からなる「恩物」といわれるおもちゃがあります。

これはフレーベルが生み出したものです。

フレベールは「幼児教育の祖」「幼児教育の父」とも言われている、幼児教育の基礎を築いた方です。そのフレーベルの思想が芸術分野にまで反映していることを知り驚きました。

フレーベル

フレーベルは子供は自然豊かな環境で、遊びや生活をとおして学び成長していくという考えから、
キンダーガーデン(幼稚園)を創設しました。

現在の日本でも、幼稚園というと、園庭があり、室内には積み木などのおもちゃがあり、

子供たちが遊びながら成長していく場。

この当たり前に見る光景も元をたどるとフレーベルに辿り着きます。

 

シンプルなおもちゃ「恩物」

フレーベルの考える教育の中に「恩物」という玩具が出てきます。
恩物とは丸、四角、三角、など
シンプルな色、形からなるおもちゃで
それを重ね合わせたり、繋げたりして、いろいろな物へ創造する遊びができます。

恩物を使い、子どもが遊びながら形の関連性や、表現力などを培えるものだそう。

同じ丸という形も、球体、平面、細かい粒、硬い質感、柔らかい質感などが用意されていて
それらを手にしたときの感覚までも学びのひとつとしています。

この世界にあるものも全て、基本はいくつかのシンプルな形、質感からなるものであり、
それを感覚的に学んでもらうためにも、こういったおもちゃをあみ出したのでしょう。

お絵かき講座

丸、三角、四角を使って描く簡単イラスト

抽象画のシンプルな形で描かれた画面

一見浅いような、シンプルな画面の抽象画も

さきほどの恩物と似たような視点で解釈すると面白いと思います。

基礎的な形、色の組み合わせ、
描き方により世界を表現しようとする。

それらのどの形を選び、どの色を用いてどんな技法で描くのかによって、
作品は全く違ったものへ変化します。

物事の基本には、そういったごくシンプルなものがあって
原点というか、余計なものを排除した単純なことから学ぶことも確実にあるのだと思います。

現に、名前は忘れてしまったのですが(ごめんなさい・・・)

過去、抽象画家の方で、
フレーベルの恩物の考え方に影響を受けて、自身の作品にそれを取り入れた方がいらっしゃったそうです。

抽象画は私には難しくて、
共感できる境地に自分は辿り着けないけれど

私は私なりに、
色、形、シンプルな画面からでも、与える影響、表現できるものというのは、確実にあると思っています。

作りこまれて、描きこまれた画面よりもむしろ、
言葉を介さずともダイレクトに、訴えるものがあるのかもしれないとさえ思う事も。

そして、受け取り手の自由度が幅広いのではないかな、と思ったりもします。
具象でないだけに、見た人の視点を限定せずに自由に重ね合わせられる気がします。

ここからは私自身の絵に付いて少しだけお話します。

フレーベルについて書きましたので、同じ幼児教育の視点から書いてみたいと思います。

-余談-シュタイナー教育から考えること

フレーベルが抽象画に与えた影響を書きましたが、幼児教育の考え方は私自身も絵を描く際に取り入れています。

私が興味深いと思ったのは「シュタイナー教育」の考え方の中の、ひとつ。

シュタイナー教育は、幼児教育の方針です。
特徴としては、自主性が尊重されます。

強制的に、「〇〇する時間だから○○しましょう。」といった指示のもとに行動するのではなく、
自らがそうしたいと思い、行動できるような主体性を尊重した教育方針なのだそうです。

特徴的な教育方針のため、シュタイナー教育の全てを理解できているわけではないのですが、

自発的な想像力を大切にする姿勢は興味深いと思いました。

シュタイナー教育では、子供たちの遊ぶ人形に顔が描かれていません。
もしくは、描かれていたとしても、はっきりとした

「笑った顔」「怒った顔」ではなく微笑んでいる程度の表情であったりします。

その理由は、子供の想像力を広げるためなのだそうです。
「笑った顔」に限定されていれば、人形はいつでもニコニコしています。
ですが顔が描かれていなければ、子供は想像力で
自ずと遊びながら自分が思い描く人形の顔を、そこへ重ね合わせるのだと思います。

子供の遊びの没入感てすごいですよね。
私自身もそうでしたが、お人形遊びをしているときは、もう人形と自分は一心同体で、
感情もなにもかも共有しているような気分で遊んでいました。

ただこれも、個人的な考えでいうと、ニコニコ笑っている顔のお人形で遊ぶことが良くないとは、私は思いませんし、ニコニコした表情から、「可愛いな」という気持ちが生まれて愛着を育むかもしれません。表情の無いお人形しか使わないとなると少し寂しい様な気もします。

さて私の絵についてですが、最近は圧倒的に白で描くことが多いのです。
ただ白が好きだったというシンプルな理由です。

描いているときも好きな色を見ながら作業できるのは幸せです。

ただもう1つの理由が、「見た人が色を想像できるようにするため」です。

私は色が大好きです。なので、色を付けて美しい色で描かれた絵も好きです。

でもそれをあえて白で描くことで、見た側が色を自由に想像できるような絵にしたいと思いました。

白で描くと、画面を見たときに絵に奥行きが増すというか、

カラフルに描いた時よりも絵の中に入り込むような感覚が強い気がするのです。

子供向けの絵を描くときも、大部分を白で描いています。空想をしてほしいのです。
でも一方では、色の楽しみをたくさん感じて欲しいという思いも同時に強く思っています。

なので白で描いた絵の上に、淡く色付けをして、
ほんの少しイメージのきっかけになるように描いてみたりしています。

幼い頃はまだ視力が育っていないため、原色の方が見やすいのだそうです。そのためおもちゃは原色の色使いが多いのです。
それでも、色がはっきりと見て捉えることだけが重要であるとは限らない、と私は思っています。

あるままの絵をそのままダイレクトに見える必用はなくて、
見た側に、見えたように、見てもらえたらいいと思っています。

(色を想像してもらいたいのなら、モノクロで描くのが一番いいのでは。と思ったこともあったのですが、やはり色が好きなので白と黒だけで描くというのが寂しかった。ということで最近の画風に落ち着いています)

私自身の考え方や興味の対象が今後変化すれば、また違った描き方をするかもしれません。色々な表現を試すことが大好きなので、白を多く使った絵以外にも、色々面白そうだと思った描き方に挑戦もしています。

絵について考えていると、絵には「絵」というカテゴリーだけじゃなくて、今回の幼児教育であったり、社会であったり、様々な視点が含まれていることに気づかされます。

 

 

お絵かき講座

丸、三角、四角を使って描く簡単イラスト