透明を描く
〜花瓶の描き方〜
「透明」のイラストの描き方をご紹介しています。
透明の物体を絵に描くって、憧れを持ちませんか?私は「目に見えないはずの透明を画面に描き起こすって、いったいどうしたらいいのだろう」と、とても惹かれていた時期がありました。
ここではガラス瓶の描き方についてお話したいと思います。
楽しく絵を描いてもらいたいので、できるだけ簡単に描ける方法をいくつか用意しました。
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お花を一輪挿した、
花瓶を描きたいと思います。
花瓶自体も透明ですし、
そこへ注がれている水も透明です。
花瓶の透明と、
水の透明の描き分けなど、
なかなか面白いです。
●●●●●
まずは、
とても簡単な描き方をご紹介します。
鉛筆で描くことを
想定してお話していきますね!
この描き方は、
消しゴムを使って描くので、
鉛筆や色鉛筆、パステルなど、
消すことができる画材で
描いてください。
簡単に花瓶の輪郭だけ描きました。
Contents
●透明感を表現するのに大切なこと・・・●
花瓶や、
水の透明感を表現するためには、
光と影がポイント。
でも、光を描きこむ場所、
影を描きこむ場所を、
1つずつ観察して描くのは
ちょっと難しい。
ということで、
まずは光だけを入れる描き方で
描いていきます。
描き方その1:「光」でガラスの質感を表現
まずは花瓶全体を
薄く塗りつぶしましょう。
ちょっと塗り方雑ですが、ご容赦下さい。
みなさまはぜひ、綺麗に塗ってくださいね。
花瓶の中に
お水が入っているビンを
描くので、
水面を描きくわえましょう。
水面はまっすぐではなく、
少し両端を持ち上げて描きます。
表面張力で、
お水が花瓶表面に
吸い寄せられているので、
まっすぐ横に線をひくよりも
リアルになりますよ。
消しゴムで4か所消す
では、
塗りつぶしたところを
部分的に、
消しゴムを使って消していきます。
4か所消しますよ。
花瓶の内側に2箇所、
花瓶の外側に2か所、
光を入れたいと思います。
まずは花瓶の内側。
赤く囲んだ部分を、
消しゴムで消してください。
お水が入っている部分です。
出来れば、上に行くほど
消し方が甘いほうがいいです。
2か所目。
花瓶の、同じく空洞部分。
ですが今度は
お水が入っていない
上半分を消します。
3か所目。
今度は花瓶の外側(表面)です。
艶々とした
花瓶の質感を出すために、
花瓶表面に光を入れます。
赤く囲んでいる部分を消します。
ビックリマーク「!」
を曲げたような形で消します。
4か所目。
花瓶表面に
縦に長く光を入れます。
赤く囲んだ部分を消してください。
今度はビックリマークを
逆さまにしたみたいに
なっていますね。
ビックリマークではなく、ただ1本の線でもいいのですが、今回は分けています。花瓶の口の、ぽってりと厚みのある部分と、花瓶の側面の平らな部分には、段差があるはずなので、光もガタンと、途切れさせてリアルに近づけてみました。
これで花瓶は完成です。
お花を描いてみます。
おまけ:花瓶に挿した花をリアルに見せるワンポイント
お花を描くときも
大事なポイントが1つ。
それは、
水面のところにくる茎の描き方。
横にほんの少し
ずらして茎を描きます。
お水の表面は、
横から見ると、
歪んで見えるので、
茎も少しずらして描くことで
リアルになります!
消しゴムを使って光だけを入れていくことで、描く方法をご紹介しました。
●ではもう1段階、難しい描き方にチャレンジです●
描き方その2:「光」と「影」でガラスの質感を表現
原型は先ほどと同じ。
花瓶の輪郭までは同じです。
先程は
先に花瓶全体を塗りつぶし、
光の部分だけを
消しゴムで消していく方法でした。
今度は、光だけでなく、
影も描きこんでいきます。
影の仕込み
まずは影から
描いてみますね。
花瓶の上半分、
赤く囲んだ部分を
薄く塗りつぶしてください。
次は花瓶の角。
赤く囲んだ部分を
薄く塗りつぶします。
次に塗りつぶすのは、
花瓶の内側となる部分。
同じ様に赤く囲んだ部分を塗りつぶします。
こうやって全体を
一度に塗りつぶさずに、
分割して塗っていくことで、
より複雑な影を
描くことができます。
(1番初めにご紹介した描き方の場合、影は初めに一気に塗ってしまったので、濃淡が無く、単一なのっぺりした影でした。)
次がこちら。
花瓶の底の部分です。
(透明なので、花瓶の底が透けて見えるはずなので、描きこみます)
そういえば・・・!
中のお水の
水面を
描かなくてはいけませんね。
水面は前回の描き方同様に、
まっすぐではなく
少しカーブさせて描いてください。
一先ずこれで、
影となる部分は終了です。
光の部分を消しゴムで4か所消す
ここから光を入れて行きます。
1番初めの描き方と同じで、
消しゴムを使って消すことで、
表現していきたいと思います。
消す場所も同じです。
花瓶の内側となる部分に2か所、
花瓶の表面部分に2か所。
計4か所です。
花瓶の内側の2か所。
花瓶表面の2か所(ビックリマークのような形で入れる)
さて。
光と影を追加してみよう
ここからは
前回の「描き方その1」では入れなかった部分にも
もう少し光や影を加えていきたいと思います。
光の追加部分
水面として描いた線があると思いますが、
その下に点々と、
途切れる様な感じで
光を入れます。
さらにもう1箇所。
花瓶の側面、
ガラスの厚みの部分です。
同じく点々と
途切れるように光を入れます。
影の追加部分
最後に一か所、
影を追加したいと思います。
これまでは花瓶そのものだけに、
影を入れてきましたが、
今回は花瓶の外側にも
影を入れてみます。
花瓶が置かれていることによって
地面にできる影を入れます。
赤く囲んだ部分を
薄く塗ってください。
(今描きこんだ影の形。逆三角が2つあるような感じで、中央は開けて描いています。なぜかというと、花瓶が透明だからです。透明なので、中央部分は影にならず、光を通します。)
これで花瓶は完成です。
花を描けば完成!
こちらの描き方であれば、
そこまで精密に描きこんだわけではなくても、
柔らかな透明感が
表現できます。
●アレンジ●
今回ご紹介した描き方から
更に一歩進み、
もう少し細部まで
描きこんだものを載せます。
ガラスのキラキラとした質感が
伝わって来るかと思います。
先ほどのイラストに比べると、
光も影も更に細かい部分にまで
描きこんでいます。
ですが
見たまま描いたわけでは無いので、
実物とはかなり異なる位置に、
光や影が入っているはずです。
でもそれなりに、
キラキラとした透明感というのは伝わりますよね。
つまり!
実物とは異なっていても、
透明感を表現することは
可能なんです。
絵の自由な良い所です。
見たまま描くだけが正解ではありません。
(もちろんデッサンや、写実的なリアルを求める場合は実物を良く見て描きましょう)
このイラストは、
グニャグニャとした
細い影や、光を、
いたるところに
散りばめて描きました。
グニャグニャっと・・・適当です。
グニャグニャ~
このグニャグニャの影や光は馬鹿にはできませんよ!
なかなか良い働きをしてくれます。
花瓶の縁や、厚みの部分、
水面や、底などに、
適当にグニャグニャを散りばめると、
かなりそれらしくなります。
あとは
花瓶の表面となるところに、
光をうっすらと
2、3か所加えて入れれば、
花瓶全体の光沢が表現できます。
複雑に見えるイラストを描くとき、
一度に全部を描こうとせず、
分けて観察してみてください。
「花瓶の側面はどんなふうに光が入るのかな、花瓶の底はどうかな、水面はどうだろう?」
と、1ずつ分けて考えてみます。
複雑で挑戦できないと思えるようなイラストでも、分けて観察することで描きやすくなりますよ。
描き方その3:色の付いた紙を使って描いてみよう
先程までは紙は白で、
背景には特に
色が付いていませんでした。
ですが描く紙を、
色画用紙など、色付きの紙に
変えてみるのもお勧めです。
色画用紙に、
色鉛筆を使って描くと
手軽に透明感のあるイラストを
描くことができます。
色付きの紙を使うことを
お勧めする理由は・・・
白などの、明るい色の色鉛筆が白い紙に描くよりも
くっきり発色するからです。
白い紙に、
白で描いても、
全然目立ちませんよね。
ですが色が付いた紙に描けば、
白の色鉛筆でも
くっきりと目立つのです。
色画用紙選びのポイント
今回は色が付いた紙といっても、
黒、茶色、紺、や濃い赤、青、
など、濃いめの色画用紙ではなく、
明るい色を選んでください。
濃い色の画用紙を使うと、
色は目立ちますが、
逆に黒が
目立たなくなってしまいます。
(あえて濃い色の画用紙を使う描き方もあります。黒い紙に明るい色鉛筆だけを使って描いていく方法です。今回は省きます)
もうひとつ、
色画用紙を選ぶ際のポイントは
あまり
ツルツルとした質感の画用紙は
向かないということ。
ツルツルしすぎていると、
色鉛筆が表面をすべってしまい、
色がつきにくくなります。
ここから実際に手順を追って描く過程を見ていきますが、これまでよりも少し細かな描き方になるので、難しく感じたら飛ばしてください!
こんな風にも描けるんだ〜程度にらなんとなく眺めてもらえればと思います。
では実際に描いてみましょう!
こちらのイラストは
花と、花瓶の輪郭線だけ
描いた状態のものです。
ここに色を付けて
描いていきます。
影の描き込み
まずは花瓶の外側、
花瓶が置いてある地面に落ちる影を
描いていきます。
影なので
黒など濃い色を使いましょう。
薄くふんわりと
色を付けて下さい。
真ん中には影を描きこみませんでした。透明の花瓶なので、真ん中部分は光を通すからです。
赤く囲んだ部分に
薄く色を塗ります。
花瓶の側面の部分です。
花瓶自体は透明なので、
はっきりとした色はありませんが、
透明=色が何もない、
というわけではありません。
(本当に澄みきったクリアな透明の場合、背景部分と花瓶の部分にまったく色の差が無いこともありますが)
こちらも黒など濃い色で。
花瓶の存在が浮き出てきました。
では次に、
花瓶の底、の部分を
黒く塗ります。
次は
花瓶に入っている
水の部分。
花瓶も、お水も透明です。
ですが、花瓶部分と区別して、
よりお水の存在感を出するために、
お水にも薄く色を塗っています。
それらしくなってきました。
お水が入っている部分の透明感を
より強調したいので、
花瓶の上半分を
黒く塗って
もう少し曇らせたいと思います。
ここからは
ハイライト(白)
を入れます。
白い色鉛筆で光の描き込み
白い色鉛筆で
赤く囲んだ部分を塗ってください。
色画用紙に描いているので、
白い色鉛筆の色が
くっきりと出やすいはずです。
花瓶が置かれている
地面に落ちる光の部分です。
先ほども説明しましたが、花瓶が透明の場合、影の中央部分には光が通ります。
次は
花瓶本体に入れていきます。
花瓶の口元に
一粒のハイライト(白)を
入れましょう。
次は
お水が入っている部分。
水面に
ハイライト(白)を
入れて下さい。
水面に
所々途切れるようにして
線を引く要領で入れます。
花瓶の側面にも
同じような感覚で、
所々にハイライト(白)を入れます。
これは花瓶の厚み部分に当たります。
後は花瓶に縦に大きく、
ハイライト(白)を入れます。
完成です。
影を入れる部分、
光を入れる部分を
細かく説明して描いてみましたが、
決まりはありません。
もっとたくさんの場所に
細かく光や影を描きこめば、
よりリアルな透明感を表現できます。
また色の塗り方も、
今回は淡く塗っていきましたが、
濃くくっきりと塗れば、
メリハリのある
強い透明感を表現できます。
ちなみに、
全く同じ絵で、
色画用紙ではなく、
背景に白い紙を使った場合は、
こんな感じになります。
(白い紙に描く場合はやっぱり、描き方その1やその2のように、白い色鉛筆でハイライトの光を入れるよりも消しゴムを使ったほうが良いと思います。白に白で描いてもあまり目立たないので。)
どんな表現を楽しみたいかによって、いろいろな方法を試してみてください。
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透明の描き方、今回はガラスの花瓶でした。絵なんて嫌いだ!と思う前に、簡単に描けるものからチャレンジしてぜひぜひお絵かきを楽しんでください。
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